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院長のひとり言

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子宮内膜症と免疫機能

子宮内膜症と免疫機能



不妊かもと思い、クリニックを受診して始めて内膜症と診断される方って意外と多いですよね。

子宮内膜は受精卵が着床(妊娠)するベッドのような役割をします。

受精に適したフカフカのベットをつくるため、子宮内膜では血管が豊富にめぐらされています。

子宮内膜は細胞の中でもトップクラスに細胞分裂する能力を持っていて、卵胞ホルモンによって増殖し、高温期になると黄体ホルモンが働いて細胞分裂にブレーキをかけるように常にバランスをとっています。

本来なら子宮の内側だけに存在するはずの子宮内膜組織が、子宮の内側以外のところで発生して増殖、活動してしまうのが子宮内膜症です。

日本産婦人科学会のカンファレンス資料によると、子宮内膜症の発症には環境要因、遺伝的要因、腹腔内環境異常、免疫力低下、子宮内膜の遺伝子変化などが考えられています。

では今回のテーマである免疫との関係はというと、子宮内膜症の女性は免疫防御機構が正常に作動せず,結果として本来子宮内膜にのみ存在するはずの内膜細胞が他の部位に生着し発育しやすい環境が作られていると言う事があげられます。

免疫機能の狂いから、内膜組織が増殖し、骨盤内に炎症や癒着を引き起こすために強い生理痛を引き起こしてしまうんです。

そもそも免疫とは体の外部からの侵入者である抗原細菌やウイルスなどに対して免疫細胞が「自分」と「自分でないもの」を識別して、体を守る仕組みを言います。

しかし、内膜症の病変は細菌感染を起こしているわけでもないのに慢性炎症のごとく、病変の進行と沈静化が繰り返されています。

その為に免疫機能の狂い、細胞の暴走と表現されたりもします。

炎症とは本来は自己を守る免疫システムです。

体は非自己、機能障害を起こした自己を排除し、完璧な状態に保とうとします。

この「非自己と障害を起こした自己」を排除するシステムが免疫システムであり、それに伴って発生する化学反応が炎症です。

細胞がストレスにさらされたり、傷害された時にも、感染した時と同じような反応が起こります。

体は外部からの侵入を消化管と呼吸器に限定していますが、そこには外部からの数々の外敵が接触してきます。

それらを体内の侵入前に発見し、除去することが免疫の最初の目的です。

その第1関門となるのが扁桃腺であり、扁桃を突破したものは呼吸器粘膜と消化管粘膜に入り込もうとします。

免疫の大部分が消化管と呼吸器に存在する理由はここにあるんです。

免疫機能が狂い、過剰な炎症反応を起こしてしまう原因としては扁桃炎,虫歯,副鼻腔炎などの他、腸内環境異常も関連すると考えられています。

腸にはリンパ球の60%が集まっているため、免疫反応に大きく関わります。

問題はその対処方法で、対処方法が炎症反応なんです。

けれど、間違ってはならないのは悪いのは炎症でも免疫反応でもなく、過剰防衛にも似た小さな障害に対する過剰な炎症反応を起こしてしまう、免疫の乱れとそれを起こした原因です。

炎症は辛い症状(発熱、発赤、腫脹、疼痛)を伴うため、体は炎症反応を嫌います。

そして炎症の起こった組織は、炎症が長期化する事で癒着を形成してしまうんです。

その癒着によって不妊の原因がつくられていってしまいます。

子宮内膜症は体が起こした免疫機能の狂いが原因だとすれば、口呼吸をやめる事、腸内環境を整えることは妊活にとって大切な要素だとわかりますよね。

参考になれば嬉しいです。







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