院長のひとり言

妊活を中医学的視点から考える〜卵巣機能不全〜

妊活を中医学的視点から考える〜卵巣機能不全〜



不妊治療を進めていて、卵巣機能低下の場合では多くの病院でカウフマン療法で卵巣を休める方法をとりますよね。

しかし、十分な効果を得られないことも多いです。

中医学的に卵巣機能不全の方の体質を診てみた場合、気逆、瘀血、水毒を伴う、上熱下寒といわれる状態が多い印象なんですが、これには先天の気や後天の気と言われる要素も大切なんです。

簡単に、気は酸素、血は血液、水はリンパと考えてもらえるといいんですが、卵巣に新鮮な酸素や栄養が運ばれず、機能の低下をもたらしていると考えていきます。

気逆は本来の気の流れとは逆に、体の下から上に気が上昇し、上(頭)は気が充満しているのに下(体)は気が不足している状態です。

血瘀は血液循環が悪い状態のことで、単なる血行不良から血液ドロドロまで様々な状態のことをいいます。

水毒は体内の水分の代謝障害(水の滞り、水滞、水気、宿水)が起こった状態の事をいいます。

ではこのような状態を起こすのは何故か。

これは生活習慣。

中医学では腎に蓄えられるエネルギーのことを「先天の気」、胃で作られるエネルギーのことを「後天の気」といいます。

「先天の気」とは両親から受け継いだ、その人の持っている生まれながらの生命力や子孫を残す力で腎に溜め込まれています。

腎は広く生殖や成長・発育、ホルモンの分泌、免疫系などの機能を併せ持つ”生命の源“と考えられています。

先天の気は年齢を経るごとに徐々に減少していきます。

実は生活習慣の乱れやストレスでもすり減ってしまうんです。

この先天の気を消耗したのを腎虚として捉える事ができます。

卵巣は腎に属していますので、腎虚の状態では働きが落ちているという事なんです。

この腎に蓄えられている先天の気を補充しているのが、後天の気になります。

徐々に消耗していく先天の気は後天の気で補充する必要があるんですね。

「後天の気」とは呼吸によってもたらされる宗気と飲食物の消化器吸収によって得られる水穀の気からなっています。

胃の働き、肺の働きが重要となってくるんですね。

ストレスが多い人は胃腸を痛めやすいですし、呼吸もうまくできていないですよね。

せっかく食事をしても効率よくエネルギーに変わっていないかもしれませんね。

人って生まれてから飲食物の栄養によって生命を維持しています。

中医学では、それを脾胃の受納と運化によって飲食物中の栄養物質を取り込む事で気を補充していると考えています。

人の体は腎と胃と肺の力が相まって元気の源、エネルギーを得ているという事。

これは、言い換えれば赤ちゃんを作る元気の源とも言えるんです。

自分自身の元気が溢れているからこそ、気を子孫を残す為に回せるという事ですね。

このような生活習慣の結果によって早い段階で気を消耗し、気逆、血瘀、水毒の状態になってしまったのを卵巣機能不全と考えられるんですね。

生活習慣の見直しが腎を補う事につながり、卵巣機能を正常に機能させてくれる事につながります。

運動、食事、睡眠、それぞれの質と量をしっかり意識して下さいね。

参考になれば嬉しいです。


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