コラム 中高生の生理不順
中学生・高校生の生理不順は“体が未発達”なことが主な原因です。
月経(以降、“生理”とします)には、エストロゲンやプロゲステロンと呼ばれるホルモンが大きく関係しており、これらのホルモンの分泌量が少ない、または多い場合に生理のが遅れる・来ないという状況が生じます。
通常、ホルモンの分泌量は一定ですが、乱れた生活を送っていたり、痩せていたり、不安や悩みがある状態では分泌量が変わります。
この影響により、卵子の成長が遅れたり、子宮内膜が体外に排出されるのに時間がかかるなど、生理の期間が乱れてくるのです。
しかし、生活上の問題や心身の問題だけでなく、病気が原因の可能性もあります。「若いから病気じゃないだろう」という考えは間違いで、若くても生理不順を起こす病気になることはあります。 まずは、どのようなことが生理不順の原因となっているのか、しっかり把握しておきましょう。
①身体的・精神的ストレス
10代の中学生・高校生の女性はストレスを感じやすいものです。勉強や恋愛など、または日常において人からよく見られたいと努力することでストレスはかかります。 ストレスを感じることで、ホルモンバランスが乱れ(ホルモンの分泌量が低下する)、卵子の成長が妨げられることで、生理期間が長くなります。
②生活習慣の乱れ
偏った食事、睡眠不足、運動不足など、健全とは言えない生活習慣を送り続けることで、ホルモンバランスが乱れ、上述のように卵子の成長が妨げられます。 また、卵子の成長だけでなく、卵子が子宮へ移動する時間、子宮内膜(子供のベッド)を形成する時間が変化します。さらに、経血(生理の血)の量が変化するなど、乱れた生活習慣はさまざまなことに影響を与えます。
③低体重・肥満(痩せ過ぎ・太り過ぎ)
日本人の理想とされる体重は、「身長(m)×身長(m)×22」で求めることができます。たとえば身長155cmの場合、「1.55×1.55×22」で52.855kg(約53kg)となります。少し重すぎると感じかもしれませんが、これが栄養面を考えた上での理想体重です。 この体重から±5㎏が許容範囲で、身長155cmの人であれば、48kg~58kgが標準体重で、48kg以下なら低体重(痩せ過ぎ)、58kg以上なら肥満(太り過ぎ)と診断されます。 ダイエットで痩せ過ぎると栄養不足になり、脳の機能が低下してホルモンの分泌量が低下し、太り過ぎるとホルモンの分泌量が増加し卵巣の機能が低下するため、生理不順が引き起こされることがあります。
④甲状腺の異常
甲状腺という臓器は、甲状腺ホルモンと呼ばれる生理と関係の深いホルモンを作りますが、何らかの原因で甲状腺に異常をきたし、甲状腺ホルモンの分泌量が変化することでも生理不順は引き起こされます。 甲状腺の異常で最も多い原因は「ヨード(ヨウ素)」と呼ばれる栄養素の摂取不足です。疲れやすい、イライラしやすい、心臓がドキドキする、血行が悪いなど、体に変化がみられる場合は甲状腺の異常の可能性があります。 ヨードを摂取することで改善されることが多々あるため、ヨードが含まれる魚類や海藻類を積極的に摂取しましょう。
⑤妊娠の可能性
精子と卵子が結びつくと生理は来ません。もともと生理期間が乱れている人でも受精することは当然あります。また、“安全日”や“危険日”などと言われることがありますが、期間に関係なく受精はします。 性交をしてから生理が全く来ないという人は妊娠の可能性があります。ただし、「妊娠したかも!?」という不安から、生理不順が引き起こる場合が多いのも事実です。
⑥子宮・卵巣の病気
子宮や卵巣に何かしらの病気が発症している場合には、生理が遅れる、または長く来ないということがあります。
生理不順を引き起こす主な子宮・卵巣の病気は「卵巣機能不全」「多のう胞性卵巣」「卵巣のう腫」「子宮筋腫」「子宮内膜症」「子宮内膜ポリープ」「子宮頸管ポリープ」「子宮頸がん」などさまざまあります。
このように、生理が遅れる、来ないという生理不順の原因は非常に多いものです。
ただし、10代の中学生・高校生は体がまだ未発達であり、外からの刺激を受けやすいため、不安やストレスなど精神的なもの、生活習慣の乱れが原因の大半を占めています。 1人で悩んでいると抜け出せなくなってしまいます。人に話すちょっとの勇気をもってくださね。
もちろん、当院への相談はいつでも受けていますのでお気軽にご連絡下さいね。