院長のひとり言

卵と腎の関係 〜古典に学ぶ妊娠に必要な腎の重要性〜

東洋医学では五臓六腑にそれぞれ対応した経絡というエネルギーが通る道(流注)があります。そして卵巣と関係の深い経絡・臓腑は「腎」になります。
 
 
腎は卵巣を司ると言われているんです。
 
 
腎の働きが悪くなってくると、卵巣自体の働きや能力の低下を招くと考えられます。
 
 
不妊体質、流産傾向、早発閉経などは腎の力の弱い方に多いと言えます。
 
 jingayowai.png
出産に至るまでに必要なよい卵子を育てる為には腎の働き、腎の経絡の働きが必要不可欠なんです。
 
 
卵巣に問題を抱えている方は腎の経絡に異常が見つかる事が多いんです。
 
 
 
腎の経絡の異常では自覚症状はあまりありませんが、腎の異常として一番のチェックポイントは「然谷穴」と言うツボになります。
 
 
 
ここに強圧痛のある方は腎の経絡が滞っている可能性が高いです。
 
 
そして、病院での不妊治療をされている方は注意が必要な事もあります。
 
 
例えば排卵誘発などで卵巣に自然ではあり得ない負担をかけた場合、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)を発症する可能性があります。
 
 
本来は自然な排卵周期では1つしかできない卵胞を数十個作ってしまうので、元々3〜4cmほどの卵巣が軽症では6cm、重症になると12cm以上にまで腫れ上がってしまうんです。重症化して入院まで行く方は0.8〜1.5%と言われていますので重症化する割合としてはあまり高くありません。
 
 
しかし、普段から腎に問題を抱えている方に多く発症する可能性がありますのでご自身での体質チェックはしてみてくださいね!
 
 
OHSSは腎の能力を高めてあげる事で症状が改善されていきますので積極的に腎の力を上げていきましょう。
 
 
そして、腎の問題で忘れてはいけないのが不育症。
 
 
受精して着床はしたけど流れてしまう症状です。
 
 
これも子宮の問題よりむしろ卵に問題があるんです。
 
 
不育症を腎の観点から見て行くと理由が納得できますよ。
 
 
不育症の原因は胎児の染色体異常が7割を占めると言われています。染色体異常は卵巣における卵子の減数分裂の際に起こると言われています。
 
 
腎が卵巣を司るわけですから、腎の働きが弱く、卵巣自体にエネルギーを送る事ができなかった場合、よい卵は作る事ができなく、エネルギー不足の卵子になってしまっていますよね。
 
 
だからこそ「腎」の力を充実させることが重要となるんです!!
腎の状態をよくして、質のよい卵を作るが大切になりますね!
 
 
もちろん、卵子の状態がよくても妊娠の維持に腎が貯蔵する精が使われるため、週数を経過するにしたがって、腎の機能は低下しやすくなります。
 
 
その為、脾による気血の補充が十分でなかったり、肝による蔵血がうまくいかなかったりして、それが腎の蔵精にまで影響してしまうと、妊娠の維持が難しくなります。
 
 
まずは腎の働きを良くして質のよい卵を作る事、そして脾、肝の働きを活性化させて妊娠力をつけていきましょう。
 
 
腎の養生はこちら
 
 
脾、肝はまた別の機会にお話していきます。

カテゴリ

アーカイブ 全て見る
HOMEへ